季節もすっかり秋めいて… みなさまいかがお過ごしでしょうか。
最近のVACANCYにも新しい風が吹いております。
今回はそんなニューフェイスの方からおひとりご紹介させていただきます。
ゆえ すでにご利用の皆さまもまだ見ぬ明日の新メンバーの皆さまも、しかとチェックしてくださいね。
かくいうわたくしのんちゃんも初めましてのお方。ゼロから伺います、すみません。 本日のゲストはこちら、
NPO法人PALETTE(パレット)のCEO
倉辻悠平さんです。(良い笑顔!)
のん:PALETTEさんはどういった団体ですか?
倉辻さん(以下敬称略):フィリピンの貧困地区出身の若者に対してキャリア支援を行うソーシャルベンチャーです。
のん:拠点がフィリピンということ?
倉辻:そうですね、活動の基盤は現地にあります。日本では僕とインターンや学生ボランティア数人ですが、フィリピンのブラカン州にオフィスがあり、現地では共同創設者を含め4人日本人の社員とフィリピン人10人くらいという規模で活動しています。
のん:半分はフィリピンの方ということですね。キャリア支援とは具体的にどのようなことをされているんですか?
倉辻:具体的に取り組んでいるのは、スラム地区で教育を十分に受けられなかった18~24才くらいの若者を対象に、英語の教師になってもらうためのジョブトレーニングを提供しています。
のん:フィリピンは英語が公用語でしたっけ?
倉辻:はい、第一言語はタガログ語ですが、公用語として英語が使われています。フィリピンでは日常生活のなかに英語がありますね。フィリピンは英語を話す人口が世界で3番目に多いんですよ。
のん:そうなんだ!
倉辻:そして貧困地区には、優秀で奨学金を受けて大学に進んだのに家族を支えつつ学費を払い続けることができずに退学して戻ってきた、という能力の高い若者が結構たくさんいて。
奨学金で大学いけるぐらい優秀なので良い仕事にありつけそうですが、フィリピンってすんごい学歴社会なんです。日本以上に。 大卒に対する需要はすごいんです。
僕が学生の時にUPという日本で言う東京大学みたいなフィリピンの優秀な大学に話を聞きに行ったとき、希望どおりの就職ができるのはたとえUPであってもその3分の1くらいで。
奨学金をもらえるのもほんの一握りですし、途中で大学を退学した彼らはなかなか希望する職につけずにいるのが現状です。
僕らはそこに置いてけぼりにされてる層にアプローチしています。
のん:どうやってその方たちを見つけているんですか?
倉辻:すごく地味です。みんなインターネットをあまり使わないので、掲示板とか若者が行く店にポスターを貼らせてもらったりして人を集めてスラムで説明会をして候補者を見つけていきます。
のん:ひとは結構集まりますか?
倉辻:数はけっこう来ますね。ただターゲットが狭いので採用が難しくて。
説明会に来るのは3,40人ですが実際採用してジョブトレーニングを受けてもらうのは3人くらい。
のん:えー!少ない!そのジョブトレーニングとは?
倉辻:端的に言うと「英語力」と「教える力」の2つを徹底的に鍛える2ヶ月半の超凝縮型トレーニングを経て、最終テストに合格した人が、さらに6ヶ月の研修を終えて、やっと英語教師になれる、という結構過酷な内容になっています(笑)
僕たちは日本人向けのフィリピン留学事業として、PALETTE SCHOOLという語学学校を運営しているんですが、トレーニング後、そのスクールの先生になる人もいます。
のん:トレーニング期間中は生活費や費用の支援を?
倉辻:補助しています。大体は働いて家計を支えている子がほとんどで、トレーニングに参加すると収入がなくなってしまうので。
ちなみに僕らはNPO法人として寄付をいただいていますが、主にPALETTE SCHOOLでマネタイズしています。
倉辻:英語の先生になってもらうのはゴールではなく、ファーストステップだと思っています。
先生という職につくことで経済的な自立が一定期間保たれ、自信も付き、それを通して人と働くことや仕事をする喜びが得られる。
そうすることでやりきる力をつけていってほしいなと。
のん:とても難しいことに挑戦されているように感じるのですが…。
倉辻:問題解決能力をつけさせるために、課題を出すこともあります。
例えば仲間のお別れ会を企画してもらったり…
貧困宿舎のスタディツアーをしてもったり…
そういた経験を通して自分の本来やりたかった夢やこれから生まれてくる新たな目標をあきらめずに取り組んでいけるようになっていってほしいです。
のん:今までの方々はそうなっているんですよね。いつからこういった支援始められたんですか?
倉辻:2014年から英語トレーニングのみの実施だったのですが、そういたライフスキルトレーニングは今期からプラスして始めています。英語トレーニングを受けたのが通算10人、そのうち7人がうちの先生として働いています。
このプロジェクトを始める前に国際協力関係の先輩に相談したら反対されたんです。
ゴミ拾いしていた人が先生になんてなれるわけがない… と。ショックでした。
のん:?
倉辻:つまりそういう固定観念があるんですね。
それを壊していきたいというのが本質的な理念にもなっているのですが。
ここまでで貧困地区出身でもお金のない団体でも、トレーニングによって先生という職業に就くことができる、ということを証明したところまできた僕たちの次のステップとして、受け入れ人数を増やすという選択肢としてはあったのですが、長い目でで見たときにライフスキルがないがしろのままではひともプロジェクトも育っていかないと思いました。
なのでジョブトレーニングの質を上げていく、という選択をしました。そんなわけでこぢんまりとした人数で続けています(笑)
のん:それだけ質の高い内容でトレーニングされているということですね。
倉辻:教育や就労支援やジョブトレーニングをしてきても問題は解決されてこなかったわけですが、その突破口となりうるのではないかとこのライフスキルトレーニングに焦点当ててやっていこうと思っています。
終始まっすぐな目でお話して下さいました。
VACANCYにはこんなワールドワイドなビジョンで目標を掲げている方が他にもたくさんいらっしゃいます。
私もお話を聞いて刺激を受けるばかりです。
倉辻さん、ありがとうございました!!
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