2018年にベイカンシーの「会員さんご紹介シリーズ」にご登場いただいた株式会社Hacksii代表の髙橋未来さんがこの度「ハクシノレシピ」をリニューアルされました!
「ハクシノレシピ」とは、料理を活用した幼児教育サービスで、自己肯定感と自信を育むオリジナルのメソッドを提供されています。
“創造性を発揮できる人を育てること”をミッションとしているそうです。
この度、コロナ禍による約1年間の休止期間を経て、完全オンラインでのサービス提供にリニューアル。それに伴いクラウドファウンディングを開始されたそうです!
そこで今回のインタビューではクラウドファウンディングにかける想いや経緯について伺いました。
身近にお子さんがいらっしゃる方はもちろん、身近にお子さんがいらっしゃらないという方にも共感や学びのあるお話しだと思いますので、ぜひご一読及び応援いただけますと幸いです !
プロフィール
髙橋未来
髙橋未来株式会社Hacksii代表取締役。明治学院大学社会学部卒業後、株式会社ワークスアプリケーションズに新卒入社。その後、七田式の幼児教室にて講師として勤務し0歳〜小学4年生のクラスを担当する。退職後に介護事業会社の人事職を経て起業。
ーーサービスをリニューアルした経緯は何ですか?
髙橋 元々、「ハクシノレシピ」は自宅訪問型でサービスを提供してきました。講師のエプロン先生を自宅へ派遣し、お子さんとマンツーマンでレッスンをします。お子さんのアイディアを全て肯定し一緒にチャレンジするその姿勢に、「親にはなかなかできない関わり」と好評をいただいていました。しかし、これだけでは自分の実現したいビジョンの達成は難しいのではないか…と課題を感じていた矢先に、コロナ禍に…..。緊急事態宣言のタイミングでハクシノレシピを無期限休止にしました。それは、自分の感じた課題をきちんと解決できるサービスを作りたいと持ったからです。
無期限休止中は、3つのプロダクトを作ろうと試みたのですが全て失敗に終わりました。次の打手を考えたいのに仮説が枯渇してしまい、全くアイデアが浮かびませんでした。そんな時、ハクシノレシピのユーザーさんが「再開を待っています」と言ってくださって。こんな風に言っていただけるのは本当に有難いと思いました。ハクシノレシピというコンテンツを使って、自分が解決・改善したい方向性に持っていけないか考えて、親子向けにサービスをリニューアルすることに決めました。今年の1月から3月にかけて、モニター提供を実施してきたのですが、大変ご好評をいただき、現在正式リリースに向けて奮闘しています。
ーー解決・改善されたい課題とは何ですか?
髙橋 先ほどお話させていただいた通り、これまでは「親にはなかなかできない関わり」がサービスの提供価値になっていました。しかし、日常的に保護者自身でこの関わりができるようになれば、もっともっとお子さんにとって良い影響を与えられるのではないかと考えるようになりました。
新しい「ハクシノレシピ」では、エプロン先生流のコミュニケーションを保護者の方にインストールすることを目指しています。
ーー具体的にはどのようなサービスなのですか?
髙橋 音声付きスライド教材を見ながら親子でレッスンを受講いただきます。レッスン中の会話は自動で記録されるシステムを現在開発中で、録音データを解析したコミュニケーションレポートをお送りします。対象年齢は主に3才から未就学児。レッスンの所要時間は人により異なりますが、平均して2時間程度です。
ーー個人の状況に合わせてコミュニケーションを改善していけるので、子育て本などを読むよりも参考になりそうですよね。
髙橋 まさに先日、「自分の実際のコミュニケーションに対してフィードバックをいただいて、具体的な改善案なども教えてもらえるので、日々コミュニケーションについて意識ができるようになった。インプットする場はたくさんあるけど、アウトプットする場はなかなかない」という感想をいただいたところでした!
ーー身内や友人に子育ての指摘されると少しイラッとすることもあるじゃないですか。でも、プロの方にアドバイスしていただけるのは良いですよね。利用者の方々はどういう理由でサービスを利用されているんですか?
髙橋 お子さんとのコミュニケーションについて意識したいと思いつつ、日常生活に追われるとなかなか意識できませんよね。そんな中で強制的に意識する時間をとる、という部分が肝になっているようです。
ーーレッスンのスライドを少し見せていただいたのですが、見た目も可愛くて、内容も作戦会議の時間があったり、大人の私でもとても楽しそうだなと思いました。
髙橋 そうそう、めちゃくちゃ楽しい!実際に子どもたちも結構盛り上がってくれていて。毎月旬の野菜を使うんですけど、1月は汁物、2月は副菜、3月は主菜を作りました。4月以降もこのサイクルが続きます。レッスンは作戦会議、お料理、振り返りという流れになっていて、材料を決めるところから始めるんです。使う道具や野菜の切り方、味付けなど全てお子さんが自分で決めるのがハクシノレシピならではのポイントだと思います。
ーー事前に野菜は用意していただくのですか?
髙橋 あるものでも大丈夫ですし、材料を決めてからお買い物に行っても大丈夫です。スライドを分けているで、柔軟に受講できるところがポイントになっていますね。
ーーおままごとみたいで楽しそうですね!
髙橋 そう!レシピがあるのではなく、子どものアイデアを形にして新しいレシピを生み出します。これが他にはないプログラムなので、親御さんからもご好評をいただいています。
ーー正解がないということですよね。
髙橋 正に、ハクシノレシピは“正解なんてない”を体験する幼児教育サービスです。実際に、「白紙を渡された時に何を書けば良いのか分からないって言ってた子どもが、自由に描けるようになりました」って、何人ものユーザーさんから言っていただいたんですよ。数値化するのは難しいけれど、そういう感覚こそが一番大切だと思っています。
ーー塾などで正解なんてないんだと体験するのは難しいですが、料理であれば、ちゃんと目に見える結果がありつつも正解がないと知ることができますよね。
髙橋 正解はないけれど失敗はできるというのが料理の良いところだと考えています。「正解がない」って料理の他にも、アートとか色々あるじゃないですか。でもアートは解釈の仕方によっては、全てが良いといえば良いですよね。だけど、料理の場合、独創性を持って作ったものに対して、自分自身で美味しいか・美味しくないか感じることができます。
ーー美味しくないと感じたら、どうしてそうなったのか、次はどうしようか考えますよね。
髙橋 そんな時に保護者の方が「良い経験になったね。次はどうしようか」というコミュニケーションを取ってあげれば、お子さんは失敗が怖くなくなります。実際、失敗ってすごい学びですからね!
ーー失敗したと感じた時に子どもがどう感じるか、その経験をどう捉えるかってすごく重要ですよね。失敗が怖くなると、大人になった時にチャレンジしづらくなってしまうような気がします。
髙橋 日本って自殺率が高いじゃないですか。若者が自殺する理由のトップ5くらいに就職活動の失敗と受験の失敗が入っているとニュースでやっていて。側から見れば「そんなの後からいくらでも挽回できるじゃん」って思うと思うんです。だけど実際に失敗が原因で自殺する人がたくさんいて。
ーー失敗をして「人生が終わった」って思うんでしょうけど、そう思わせるのは周りというか社会ですよね。なので、幼い頃から「失敗しても大丈夫なんだ」ということが学べたら良いですし、親御さんもそう思えると、もう少し生きやすくなる方が増えるのではないかなと思います。
髙橋 そうですよね。失敗が許容されない社会だから、みんな失敗が怖い。でも、失敗を重ねないと新しい価値って生まれないんですよ。発明王のエジソンも、「失敗ではない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ」と言っています。これからのテクノロジー社会、人はどんどん新しい価値を生み出していかないといけないのに、失敗が許容されないのっておかしいですよね。
だからそこを変えていく必要があるし、私たちはこの事業を通じて変えられると思っています。
ーーハクシノレシピでは失敗した場面も録音されているということですよね。「焦げちゃったね」「しょっぱいね」とか。そういう時に、親御さんがどう対応した方が良いかもフィードバックには含まれていますか?
髙橋 そうなんです。あと失敗をさせないようにするっていうのもあって。子どもが「これやってみたい」って言った時に「でもこれは美味しくないんじゃない?」って、つい言いたくなりますよね。それが親御さんの悩みの種になっていて。失敗体験は大事だけど、その日のご飯がかかってるじゃないですか。だから「少量を小皿にとってやらせてあげると良いですよ」ってアドバイスをさせてもらっています。それはお子さんにも親御さんにも満足していただけて「すごい良かった」とおっしゃっていただけました。
ーーハクシノレシピを通じて、親御さんにも何か変化はありましたか?
髙橋 モニターとして利用してくださった方からは、「自分の無意識のコミュニケーションについて客観的に知ることができた」と言っていただきました。
コミュニケーションレポートでは、音声データから保護者の声かけキーワードを抜き出して、コミュニケーションを8つに分類しています。グラフになっているので、客観的に会話内容の傾向やどう変化しているかを見ることができ、良いコミュニケーションや変換可能なコミュニケーション例なども具体的にわかるレポートになっています。ちなみに、3ヶ月のモニター提供の中で、良いコミュニケーションの割合が全体で7%向上したんですよ。(3/26時点)
ーーお子さんだけでなく親御さんのためにもなるのですね。親御さん同士で交流はありますか?
髙橋 はい、実はコミュニティをすごく大事にしています。作った料理のことやお子さんの成長エピソードなど様々なことを共有して、皆さん「いいね」みたいな感じで、コミュニティが良い雰囲気で回っていて。今はSlackを使っているのですが、最終的にはサービスのシステムにコミュニティ機能を付けたいと考えています。
ーークラウドファウンディングをされたきっかけは何だったのですか?
髙橋 ハクシノレシピをより多く方に知っていただき、より多くのご家庭にお届けできればということと、親御さんがより簡単に受講できるシステムを開発するためにクラウドファウンディングを始めました。リターンとしては、実際にレッスンをお試しいただける「レッスンお試しプラン」など様々なプランを作りました。身近に対象年齢のお子さんがいない方は「あしながプラン」がおすすめです。これは支援をした分だけレッスンを寄贈いただけるプランです。寄贈いただいたレッスンについては、ハクシノレシピがキャンペーン等を実施し、提供していきます。
ーーひとり親家庭など、中々教育にお金をかけることが難しいご家庭にレッスンを提供できる可能性があるということですか?
髙橋 もちろんです。長期的には自治体と連携をして、より多くのご家庭にレッスンをお届けしたいです。ひとり親のご家庭で孤独を感じている方もいらっしゃると思うので、レッスンはもちろん、コミュニティの機能なども使っていただければ良いなと考えています。
ーーどんな方に利用してもらいたいですか?
髙橋 子育てに悩んでる全ての親御さんに使っていただきたいです。子育てに悩む理由は明確になってきたと思っていて、成果がすぐに出ないことと、人に評価されないことが原因だなと思うんです。私たちはこれまで、頑張れば成果が出たり点数が上がったりして、それで人に褒められるっていう社会で生きてきたから、そのルールが適用されない子育てがすごく辛いんじゃないかなと。だから私たちは悩んでいる親御さんの子育てをすごく評価したいし、成果がすぐ出ないことが普通というか、そこに対して不安に思わせないようなサポートがしたいなと思っています。不安を抱えていたり悩んでいる方には是非使っていただきたいです。
ーー髙橋さん、ありがとうございました!
お話を伺っていて、ハクシノレシピは子育ての伴走者だと思いました。
子どもはもちろん可愛いけれど、育児は体力的にも精神的にもとても大変で、正解なんてないと思いつつ、正解を探しながらするものなのかなと思います。
その中で孤独感や不安を感じる方もいらっしゃると思います。
そんな時、一緒に育児について話したり相談したり考えたりできる存在がいるというのはとても心強いと感じました。
2018年にインタビューをさせていただいた時から2年半が経ちます。
「子どもの未来のために全力を尽くしたい」と語ってくださった髙橋さんの想いは今も全く変わらず、コロナ禍で1年近くサービスを休止することになってもなお、お子さんや親御さんのことを考え、方法を模索し続けるお姿にとても力をいただきました。
私は母子家庭で育ち、母とはぶつかることが多かったのですが、今になって母の辛さや孤独感が少し分かって申し訳なかったなと感じます。
あの時の母にプレゼントしたい、ハクシノレシピはそんなサービスです。
髙橋さん、心から応援しております!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
応援のほど、よろしくお願いいたします!
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文責:大森愛美